旅で人生は変えられない⑮(アメリカ編)
前回のあらすじ
テキサス州・ダラスにやって来た。
この日の最安値のチケットで入場した僕は、メジャーリーガーとのツーショット撮影に成功した。
行動を起こせば奇跡は起きる。
僕の旅はちょうど折り返し地点だ。
(第15章) ブルースの街
アメリカ南部の街・メンフィスにやって来た。
ミシシッピ川が流れるこの街は、かつては奴隷商売の中心として栄えた街でもある。
その影響もあってか、黒人の人口比率がとても高い。
バスに乗っても周りはアフリカ系アメリカ人ばかり。逆に白人の方がマイノリティで目立ってしまう。
メンフィスはキング牧師暗殺の地でもある。「ブラックアメリカン」の割合が多いこの地は公民権運動においても重要な拠点であった。
キング牧師が暗殺されたモーテルは現在は博物館になっていて、アフリカ系アメリカ人のアメリカ社会に対する闘争の歴史を学ぶことができる。
そして、メンフィスはまた「ブルース発祥の地」としても知られていて、世界中から音楽好きが集まってくる。
・ビールストリート
メンフィスの一番の目玉は「ビールストリート」だ。ビールはお酒ではなく、人の名前からきている。
アメリカでは路上や屋外でお酒を飲むことは法律違反となり、処罰の対象になってしまう。
このビールストリートも同様に通常は飲酒をすることができない。
しかし、夕方になるとこのストリートは警察により封鎖され、特別に屋外での飲酒が認められている。
ストリートにはミュージックバーが立ち並んでいて、あちこちから音楽が聞こえてくる。
そして、広場では野外ライブが行われ、大いに盛り上がる。
音楽とは国境を超えるものだ。
白人、黒人、アジア系、アラブ系、ヒスパニック系などあらゆる人々がここに集まり、音楽に酔いしれ、一緒に盛り上がる。
メンフィスでは「音楽の力」というものを実感した。
曲の歌詞が日本語ではないから、もちろん歌詞の意味は全く分からない。
でも、曲には歌手の、作曲者の魂が込められていて、そのビートが、メロディが国境を越えて、人種の壁を越えて世界中の人々の胸に届くんだ。
僕が現在、ウクレレを練習しているのも、メンフィスでの経験が大きく影響している。
音楽は世界の共通言語。
音楽は世界を一つにする力がある。
ロックな街・メンフィスでの出来事であった。
⑯に続く