旅で人生は変えられない⑫(アメリカ編)
前回のあらすじ
欲望の街・ラスベガス。
24時間街はネオンの灯りで眩しく、物価も鬼のように高い。
ここではグランドキャニオンのツアーに参加し、地球20億年の歴史を僕は目の当たりにした。
(第12章) アリゾナ
ラスベガスからバスで7時間。ひたすら砂漠を突っ走る。
道端では大きく立派なサボテンたちが堂々と佇んでいる。まるで昔の西部劇の映画に出てきそうな光景だ。
アリゾナ州・フェニックスの国際空港にバスは到着した。
フェニックスでは、現地に住むホストの家に泊めてもらうことになっていた。
ホストは空港まで迎えに来てくれていた。彼の名前はサム。白人のアメリカ人だ。出身はアリゾナではないが、仕事の関係で単身フェニックスに住んでいる。
サムの家に着いてすぐに、彼がお金持ちだと分かった。厳重なセキュリティにプール付きのマンション。大画面の4Kテレビに家具も高級感が漂っていた。
・フェニックス
アリゾナの大都市・フェニックス。街の中心部は金融会社の高層ビルが建ち並ぶ。
しかし、ここはアリゾナの広大な砂漠の中に造られた街。夏は気温が50度近くまで上がる。
郊外に出れば、そこはもう砂漠地帯。ごつごつした岩山が連なる。
サムとは一緒に岩山で登山をした。フェニックスでも一番ポピュラーな岩山「キャメルバック」。名前の通り、ラクダの背中のような形をしている岩山だ。
標高は高くないが、道のりは険しい。それに茹だるようなアリゾナの暑さ。
数分に一度は水分を補給しなければ立っていられない。
登山というよりは、ほとんどがロッククライミングだった。
開始から2時間。頂上に到着した。
キャメルバックの頂上からの景色は絶景だった。あたり一面に広がるアリゾナの大地。
「地球は丸い!」
そんなことを感じた。
・人生初!メジャー観戦
サムと僕はお互いにメジャーリーグのファンということで意気投合したこともあって、彼がチケットを取ってくれていた。本当にいい奴。感謝。
地元のフェニックスに本拠地を置く、ダイヤモンドバックスの試合。しかも対戦相手は僕が大ファンのドジャースだ。
ドジャースに地区優勝へのマジックが点灯していたことにより、アウェーにも関わらず観客の半分はドジャースファンだった。
メジャーリーグの試合は日本と違い、鳴り物の応援がない。観客は静かに試合を見つめている。そして、1つ1つのプレーに拍手や歓声、ブーイングが起こる。
イニング間のイベントも充実しており、ファンが飽きないような工夫が施されている。さすがはメジャーだ。選手のプレーもイベントもレベルが高い。
試合はダイヤモンドバックスが勝利を収めた。しかし、日本と違い、ヒーローインタビューも花火も上がることなく観客は歓喜に浸った後はすぐさま帰路に着く。
そして、一斉に近くの酒場に押し寄せ、勝利の酒に浸る。
アメリカでは、プロスポーツと人々の生活が深く繋がっていることを感じた。バスケもアメフトもアメリカ人にとって生活の一部であるからこそ大きなお金が動き、スター選手にもなると日本のトップ選手よりも数倍もの年俸がもらえる。
こうしてフェニックスの滞在はサムのおかげで素晴らしいものとなった。今はもう結婚してフェニックスを出て行ったらしいが、今でもたまに連絡を取っている。また会える日を楽しみに。
⑬に続く